沿岸部と海の砂の採掘で生態系破壊「魚の産卵場所がなくなる」

最近まで、採掘場と川は世界の砂の需要に応えるのに充分だった。

しかし、消費の伸びと大陸での資源衰退によって沿岸部と海で砂の採掘がおこなわれるようになった。ナトリウムの腐食作用は建物をもろくするので、沿岸部と海で採掘された砂は洗わなくてはならない。このときに大量の淡水を必要とする。

同時に海砂の採掘はその場所の生態系を破壊する。自然や生物的ファクターは砂と密接な関係があるからだ。骨材の採掘によって生じた水の濁りは、ときにはある区域でトロール漁業ができなくなるくらいに海の植物相と動物相にいくつもの影響を与える。同時に採掘地の底の地形変化が波の流れを変え、ひいては海底の堆積物のバランスや沿岸部の侵食の速度やデルタの地形まで変えてしまう。時が経つにつれて別の影響も現れてくる。

たとえば、遠洋性生物(サバ、マグロなど)の食物連鎖に欠かせない底生生物(ウサギなど)の減少、産卵場所としての海底の破壊、稚魚がまとまって暮らしている場所の破壊などだ。

建設業における砂の消費量(単位:トン)

世界の75~90パーセントの砂浜が縮小

海砂の採掘が生物の育成と再生産の活力にダメージを与えていけば、じきに砂浜が消える日が来るかもしれない。すでに世界の75~90パーセントの砂浜が縮小している。

海砂の採掘の増加に加えて、温暖化によって海面が上昇しているからだ。そもそも、とりわけ大量のエネルギーを使うセメントの生産は破壊的なサイクルを拡大してきた。1トンのセメントを生産するごとに0.9トンの二酸化炭素が排出される。セメント産業は、世界の温室効果ガス排出量の5パーセントを生んでいるのだ。

川での鉱山開発の結果が広がると、環境に与える損害も大きくなる。

骨材の採掘は水のPH値と水質を悪化させながら川沿いに広がって水の流れに悪影響を及ぼし、川べりの侵食を加速させ、帯水層の貯水力を減らして大規模な洪水を起こりやすくさせ、干ばつと被害を激化させる。世界の人口が増えて淡水の需要が増えているだけに、こうした出来事はいっそう気がかりだ。