中国の3年分のセメント使用量は、アメリカの101年分を超えている

砂は少量であっても多かれ少なかれ希少な鉱物を含んでいるので商品価値があり需要がある。たとえば南アフリカの砂には金とダイヤモンド、スマトラ島沖の砂には錫(すず)、「黒い砂浜」に堆積している鉄分の多い砂にはチタンが含まれている。ガラス産業や電子工学や宇宙工学の分野では、シリカという非常に強度があり再利用しやすい素材が入っている石英を含む砂も用いられる。

しかし世界規模で見ると、砂はとりわけ骨材(コンクリートの調合に必要な砂利や砂)として建物や地面の整備に使われている。砂の採取量を量るのは難しいので、世界のセメント使用量をもとに、コンクリートをつくるときに加えられる骨材の量を考慮して算出してみよう。

実際のところ、建築産業はセメント1トンあたり6~7トンの砂と骨材を使用している。それをふまえて計算すると、建築業での現在の骨材世界消費量は高さと幅が27メートルの壁×赤道の長さ分と等しい。

海岸整備と道路の盛り土にも数百万トン、アスファルトの敷き替えとコンクリートの道にも砂や骨材が使われている。トータルで世界の骨材年間消費量は約400億トンにまで増えている! アジア諸国の経済と都市の成長を見ると、これでも暫定的な数字にすぎないだろう。

注記1※
中国が2011年~13年の3年間で生産したセメントは約66億トン。これは1901年~2000年の101年間にアメリカで生産した約45億トンを超える量だ。(図表1参照)

 

セメントの生産

注記2※
各国におけるコンクリート工業で消費される年間の砂の量を、「先進国全体:中国」で比較すると以下の通りとなる。(図表2参照)

2000年「32億5000万トン:47億1300万トン」
2010年「39億トン:100億7500万トン」
2020年(推定)「45億5000万トン:117億トン」

1990年~2050年にコンクリート工業で消費される砂の量(単位:100万トン)