鉄道においても同様に社員間での感染が拡大した場合、駅の業務を担う人員が確保できず、営業体制の縮小を迫られる可能性もある。さらに憂慮すべきは、感染が乗務員にも拡大する事態である。
4割の社員が欠勤すれば、朝ラッシュの電車本数は半分に
多くの鉄道事業者は新型インフルエンザ特措法に基づく事業継続計画の中で、国内でパンデミックが発生し、最大で社員の4割が欠勤する状況になった場合、朝ラッシュ時間帯の運行本数が通常の20~50%まで減少すると見込んでいる。インフルエンザより感染力が強いとされる新型コロナウイルスにおいては、想定以上に感染が拡大し、社員の欠勤が進む可能性も否定できない。この場合、運行本数の削減が始まり、現在以上の混雑が発生する状況にもなりかねない。
そうした意味では、鉄道もまた状況の悪化を食い止めることができるかどうかの瀬戸際に立たされていることになる。しかし残念ながら、残された時間の中で政府や鉄道事業者に実効性のある取り組みは期待することはできないだろう。企業や利用者一人ひとりが、漠然と時差通勤を行うのではなく、何のために混雑を緩和する必要があるのかを自覚し、必要な行動をとるとともに、マスク着用や手洗いやうがいなど自衛に努めるしかないのである。