列車一本がそれぞれ「クルーズ船」とも言うべき状況
新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大が止まらない。既に市中感染が拡大し、感染者および濃厚接触者の追跡は困難な状況となっており、今後は感染拡大をできる限り抑制するために外出自粛を求めていくとともに、重症者や死亡者をできるだけ増やさない対応が必要になってくる。
新型コロナウイルスは接触感染や咳やくしゃみなどの飛沫感染によって広がっていく。厚生労働省はホームページで「屋内などで、お互いの距離が十分にとれない状況で一定時間いることが、感染のリスクを高める」としており、人が密集するイベント会場での感染拡大を防ぐために、各地でプロスポーツや就職説明会、催し物などさまざまなイベントが中止または延期、規模縮小の検討に着手している。
だが、こうしたイベント以上に、大都市圏で働く人々にとって身近かつ避けて通れない関門が満員電車だ。2015年に国土交通省が実施した「大都市交通センサス調査」によれば、東京23区を目的地とする1日当たりの通勤・通学利用者数は約514万にも達する。
東京圏で一般的に用いられている電車の定員は1両あたり約150人。10両編成の場合、乗車率100%で1500人、乗車率200%で3000人もの乗客が数十分、密室で密着していることになる。いわば、列車一本がそれぞれダイヤモンド・プリンセス号とも言うべき状況だ。