残り時間を示すカウントダウンクロック

科学や技術、その他幅広い話題についての磨き上げられたトークで有名な講演会、TEDが日本に紹介されたとき、多くの人の関心を惹きつけたのは舞台上の話者に残り時間を示すカウントダウンクロックだった。

一分一秒たりとも無駄がなくいきなり本題に入ってトップギアで話す。そのようなTEDの文化を表すうえで残り時間を示すあの時計は効果的だった。

開催日時の決まったイベントへの準備プロセスや、TEDのように単位時間あたりの「付加価値」が高い現場感覚など、さまざまな局面で時間の可視化の技術が有効である。

時間という本来直接は知覚できない存在を可視化することで、前頭葉をはじめとする脳の回路に「周知徹底」することができる。さらには、その認識をみんなで共有することで祝祭感を高めたり、ゴール到達に向けての連帯を濃くすることもできる。

もともと、残り時間を提示することは学習や仕事の能率を上げて、集中力を高めるために効果的な方法である。受験生ならば問題を解くときに残り時間を表示することで集中度を高めることができる。時間的制約を認識することで、前頭葉を中心とする課題遂行回路の働きは強まるのだ。

TEDに象徴されるように、カウントダウンクロックの文化やその需要は日本よりも欧米のほうが進んでいる。ネット通販で買おうとすると海外のサイトのほうが充実しているし、日本で売られているものも並行輸入品が多い。

日本でも、カウントダウンクロックを用いて仕事やイベントにメリハリをつける習慣をもっと増やしたらどうだろう。

例えば、会社で始業時に作動させて、退出時までの時間を表示する。納期や締め切りが決まっている仕事ならば、残りの日数と時間を共有して士気を高める。話が長くなりそうな上司のスピーチは、本人や周りに見えるように計時すればみんなが楽しんで効率を上げることができる。

時間を大切にすることから、成功への物語は始まる。オリンピックイヤーだからこそ、東京駅前のカウントダウンクロックからインスピレーションを得たい。

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