『麒麟がくる』は最高の脳トレである

近年の日本人の性格として、既成の観念を打ち破るのが苦手だとか、イノベーションを取り入れるのが遅いなどというイメージがある。

戦国の世は命を賭した「個性の見極め合い」が繰り広げられた時代だった。
NHK=写真提供
戦国の世は命を賭した「個性の見極め合い」が繰り広げられた時代だった。

だから、デフレが続いているとか、失われた10年が20年、30年になろうとしているという論もしばしば見られる。

しかし、日本人の性格が固定されてしまっているわけではない。ましてや、遺伝子で決まっているわけでもない。

性格は、時代状況で変わる相対的なもの。だからこそ、過去を振り返って再体験する小説やドラマ、映画が性格形成の大切な糧となる。

2020年のNHKの大河ドラマ『麒麟がくる』は、明智光秀を主人公に戦国の世を描く。視聴率も良く、好調なスタートを切った。主人公の光秀役の長谷川博己の演技が印象的で、鮮烈な色彩の映像の美しさも評判を呼んでいる。

なぜ、日本人は戦国時代の物語が好きなのだろうか? いろいろな理由があるだろうが、1つ大きいのは、現代とは異なる日本人の性格、生き方の可能性が描かれていることかもしれない。

戦国の世は、武将たちの個性が際立ち、輝いた時代だった。