特に重要なのは、起きたら真っ先に太陽の光を浴びることです。これには「体内時計を地球の自転に合わせてリセットする」「睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を抑制し、体を活動モードにするセロトニンの分泌を促す」という効果があります。起きてすぐやるのがポイントで、朝、太陽の光を浴びると、約14~16時間後に「眠くなるスイッチ」が入ります。ガラス越しでもいいので、窓から1メートル以内に近づいて、太陽の方角に顔を向けます。曇りでも雨でも、15秒以上見れば効果が出ます。
朝の習慣でもう1つ大事なことは、起床後1時間以内に乳製品、卵、大豆食品などのタンパク質を摂ることです。タンパク質に含まれるトリプトファンが、活動ホルモンのセロトニンをつくる材料になるのです。バナナもトリプトファンを含むため、効果があります。さらにバナナにはセロトニンをつくる過程で必要となるビタミンB6や糖質も含まれています。
不眠を招く現代の習慣
現代の生活ではパソコン作業のように、脳を酷使する一方で体をあまり使わないことが不眠を招いています。質の良い眠りのためには、よく笑うこと、人と話すこと、できるだけ動いて体を疲れさせることを心がけましょう。
また午後3時までに、20分以内の短い昼寝をすることで、眠気が取れ、仕事のパフォーマンスが上がり、免疫機能が高まるなど健康効果もあることがわかっています。
理想は昼食後にコーヒーかお茶を飲み、歯を磨いて、デスクに戻って20分ほど座った状態で目をつぶり、浅い眠りを取ることです。コーヒーやお茶に含まれるカフェインは摂取してから30分後に覚醒作用が出てくるため、昼寝からの爽やかな目覚めをサポートしてくれます。
夜眠る前の習慣についてはどうでしょうか。たとえば入浴のタイミングです。38度から40度までのぬるめのお湯なら就寝の1時間から1時間半前ぐらいに入るのがベストです。熱いお風呂の場合は、2時間前くらいに前倒しします。
スムーズに寝付く就寝環境
寝付きをよくするためには、周囲の環境を整えることも大切です。視覚・聴覚・嗅覚・温熱感覚・触覚を「睡眠五感」と呼びますが、中でも影響が大きいのが視覚で、照明が明るいと安眠が妨げられます。寝室の明かりは就寝1時間前から暗めにし、色も白よりオレンジなどの暖色系に切り替えます。
パソコンのモニターなどから出るブルーライトは覚醒作用が強いため、寝る前の使用は避けましょう。スマートフォンは顔に近づけて使うため特に影響が大きいので、就寝前30分間は使わないこと。どうしても必要な場合は画面を暗くするとか、ブルーライトをカットするアプリを使うといった対策をします。