田舎の小学校では図書館すらない学校もある

ちなみに、経済的に豊かになったので意外に思うかもしれませんが、中国では大都市を除き、まだ全国各地の小中学校に図書館が設置されているわけではありません。日本では公立の小中学校なら図書館とプール、体育館があるのは当たり前ですが、中国の田舎に行けば、この3つともない、という学校がまだ少なくないのです。

最近では巨大な図書館やインスタ映えするおしゃれな書店が次々とできていると報道されていますが、全国レベルで見れば、まだ公立の図書館や地域に密着した書店の数は足りていないといえます。日本では書店の減少が深刻化していますが、中国では、そもそも書店のない町もまだ多いというのが現状なのです。

そういえば、以前、深圳に進出した日本の中小企業の社長が、社員食堂の横に図書コーナーを作り、そこに自費で中国語と日本語の本をたくさん買って並べた、という話を聞いたことがありました。

その際、「社員たちが夢中になって本を借りて読んでいた。次はこういう本を買ってほしいなどの要望もきて、読書することで仕事へのモチベーションもアップしたようだ」と社長が話していたことがあり、印象に残っています。そうした社会環境も関係しているのか、電車内を見比べてみれば、日本のほうが読書している人が断然多い、と中国人は感じているようです。

夜になっても外でおしゃべりしたりとにかくにぎやか

こうした感動シーンがある一方で、中国人の目から見て、不思議だな、と思うシーンもあります。たとえば、「日本の夜の街にはあまり人がいないこと」です。

広東省から日本にやってきた20代の中国人女性は、日本の印象をこう語ってくれました。

「夜の街に人が少なくて、とても驚きました。私は少し長い滞在なので、都心の繁華街にあるホテルではなく、下町の静かなところに泊まっていたからかもしれませんが、それにしても、外を歩いている人が少なくて、広東省の住宅地に比べてずいぶん静かだな、という印象を持ちました」

中国では繁華街だけでなく、住宅地でも夜遅くまで人の往来が激しいのが「普通」です。都市によっても違いますが、中国では真冬を除いて、夜になっても、マンションがある敷地内の中庭でおしゃべりしたり、夕涼みをしたりしている人が多い。昼になれば、自宅の外に小さなテーブルや椅子を出し、そこで囲碁をしたり、井戸端会議をしたり、ゲームをしたりしているなど、とにかく、とても賑やかです。