中国人にとって、“家”は自宅だけにとどまらない
逆に、日本人が中国に行って驚くのは、遅い時間になっても外で遊ぶ就学前の子どもの多さ。日本では夕食後も幼い子どもが外で遊んでいるところはあまり見かけないですが、中国では大人と一緒に幼い子どもがずっと外に出ていることは珍しくありません。屋外だけでなく、夜のショッピングセンターでも同様です。
私は取材のため、埼玉県川口市にある芝園団地を訪れたことが数回あります。芝園団地は約5000人の住民の半数が中国人なのですが、夜になっても子どもが中庭で遊んでいるなど、日本の他の団地ではあまり見かけない風景を目にしました。
中国人にとって“家”とは自宅の中だけでなく、中庭や広場など、その周辺まで含めた、もう少し幅広いエリア(空間)を指すのではないだろうか、と感じられました。
中国では地方によって「夜食」を食べる習慣があります。とくに南方では夜市が開かれることが多い。屋台だけでなく、小さな飲食店が夜遅くまで開いています。中国語で夜食は「夜宵」といい、夜遅くに外で飲食するのは中国文化の一つとなっているのです。
そうした夜の賑やかな街の風景を見慣れた中国人からすると、真っ暗で人通りが少なく、シーンと静まり返った日本の住宅地は「不思議なシーン」に感じられるのです。
日本人にとって「当たり前」のことでも、彼らの目を通してみれば、ちょっと違って見えてくる。そして、それを教えてもらうことで、私たち日本人も、自分たちの国を少し客観視してみることができるのではないか。そう感じています。