名前より先にIDが割り振られるエストニア

筆者が拠点を構えるエストニアでは、誕生時に名前より先にe-ID(デジタルID)が割り当てられる。たとえば、筆者のIDは「39305010062」。一桁目は性別(1900年~99年の間に生まれた人の中で、男性は3、女性は4)を表し、続く6桁が生年月日、その後の3桁がその日に生まれた中での登録順、最後の一桁は残りの10桁から生成される。

つまりこのデジタルIDは、1993年5月1日に生まれ、その中でも6番目に登録された男性ということを表す。エストニアのIDは公開式で、年齢や性別を公にすることをいとわなければID自体を公開しても問題はない。

写真=Toolbox Estonia
エストニアのデジタルIDカードとUSB読み取りリーダー

エストニアではデジタルIDと紐付いたICチップが埋め込まれた「デジタルIDカード」の取得を義務付けている。このカードを専用のIDカードリーダーを使ってPC端末と接続し、4桁と5桁の2種類の暗証番号を入力することで、電子上で「あなたであることの証明」が可能になる。この「本人性の担保」をデジタル世界で実現できることによって、エストニアではさまざまなシーンでデジタルIDが活用されている。具体例を見てみよう。