▼奨学金の利用など、「子どもの教育費」をどう準備すべきか
「子にお金の話をする」ところから
かつては学資保険などの積み立てで教育費を準備できたが、低金利の今はほとんど殖えない。となると、積立投資で準備するのが王道。それでも不足する場合には奨学金を組み合わせるのがいいだろう。
奨学金を利用すること自体には問題はないが、十分に理解してから利用すべきだ。日本学生支援機構の17年度調査によると、奨学金の「手続きをする前」に返還義務があることを知っていたのは、延滞者では約半数にとどまっている。「返還の督促を受けて知った」人も10.7%存在する。また、奨学金の返還者本人や親などの連帯保証人が自己破産する例もみられる。同機構は、自己破産に至る直接的な理由は必ずしも把握できていないと説明するが、返還が負担となることは想像に難くない。
子どもが仕組みを理解しないまま奨学金を利用するのは、親の責任でもある。借りたお金を返さなければならないのは当然のこと。そんな当たり前のことさえ理解できていないのは、親がまともに金融教育をしていないからだ。私が以前調査したところ、家庭で話しづらい話題として「性とお金」を挙げる人が多かった。私も娘に性の話はしにくい面もある。しかし、お金の話はタブー視しない。
すべてを包み隠さず話すのがいいわけではない。私が勧めているのは「年収と貯蓄額以外」をオープンにすること。子どもが親の年収や貯蓄額まで知ってしまうと友人同士で比較が始まり、いじめの原因に発展しかねないからだ。生活費や住居費などについて話をしていれば、子どもは親の収入を想像できる。学費も同じ。「進学するにはこれだけかかるが、すべてを用意できない」となれば、奨学金の利用を親子で検討する。そうした会話をしていれば、必然的に奨学金の仕組みも理解できるだろう。
(文=向山 勇)