日本の子どもの睡眠時間は17の国と地域で最下位
実は、日本は世界の中でも睡眠時間が短い国です。経済協力開発機構がまとめた2019年のデータでは、日本の大人の平均睡眠時間は7時間22分で、調査国中もっとも短いことがわかっています。
2010年に発表されたアメリカの研究では、世界の17の国と地域(中国、香港、インド、インドネシア、韓国、日本、マレーシア、フィリピン、シンガポール、台湾、タイ、ベトナム、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、イギリス、アメリカ)の3カ月〜3歳までの子どもの睡眠時間を調査しています。その結果、日本の子どもの睡眠時間の平均は昼夜合計で11.6時間、なんと最下位だったのです。ちなみに1位は平均13.3時間のニュージーランドで、日本の子どもより2時間近く長く寝ていました。
赤ちゃんや幼児の睡眠不足は、成長に悪影響を及ぼすという研究結果もあります。
たとえば2015年に発表されたノルウェーの調査結果では、1歳半の時に総睡眠時間が13時間以下だったり夜中に何回も起きたりする子では、問題行動が多く、5歳になってもその影響が残っていることが明らかになりました。特に、睡眠時間が11時間未満の子や夜中に3回以上起きる子は、情緒発達の問題や問題行動が1.5〜3倍に増加していたのです。
また、アメリカのグループは、肥満と睡眠不足の関係を明らかにしました。この研究では、約1000人の子どもを対象に、生後6カ月から7歳までの間、定期的に睡眠時間を調査し、7歳の時点での肥満度(BMI)との関係を調べています。その結果、慢性的に睡眠不足の子は、十分な睡眠をとっていた子に比べて2.6倍も肥満が多かったのです。
お昼寝の回数と時間は「目安」でいい
では、実際にどのくらいのお昼寝や夜の睡眠をとらせてあげればよいのでしょうか?
先にご紹介したような睡眠不足が成長に与える影響の研究結果を総合すると、生後3カ月から小学校に入るまでの子どもの夜の睡眠時間は、10時間以上あると望ましいようです。目安としては10〜12時間が適切でしょう。
お昼寝の長さや回数は個人差がありますが、1995年のアメリカの研究で、子どもたちのお昼寝の回数や長さを調査したものがあります。それによると、生後6カ月では1日平均2.2回で3.5時間、1歳では1.86回で3時間、2歳では1.07回で2.3時間、5歳では0.43回で1.6時間のお昼寝をしていました。
このような調査結果や経験から考えると、1歳までのお子さんなら1日2〜3回、1歳2、3カ月頃からは1日1回のお昼寝が目安です。お昼寝の回数や時間は絶対守らなければならないものではありませんが、目安として参考にしていただけたらと思います。目安より多少睡眠が少なくても、赤ちゃんが日中も機嫌よく過ごし、寝つきも寝起きもよくて夜ぐっすり眠れているなら問題はありません。中には1回のお昼寝が30分程度とどうしても短めになり、疲れすぎて機嫌が悪くなってしまう赤ちゃんもいます。そんなときは、お昼寝の回数を増やしてあげることで、改善することもあります。