一方、以前は悪者扱いだったお酒は見直されています。お酒は飲めば飲むほどγ-GTPが高くなり、咽頭や食道、肝臓に影響する――ここだけ切り取れば悪です。ただ、適量であれば心臓血管疾患や認知症はまったく飲酒しないグループと比較すると低下する傾向も報告されています。面白いデータがあって、少量でもいきなりリスクが高くなるのが外傷。酔った末に、転倒や喧嘩でケガをするというやつです。お酒は良い役にも悪い役にもなりますので、あとは自己責任という言葉に尽きます。
ウオーキングは朝がいい
ウオーキングは最高の健康増進法です。「朝が効果的」というイメージが浸透していますが、実は夜であっても効果に差はありません。朝15分、夜15分に分けてもいい。1日で30分程度行うことが重要です。
ただし、ダラダラ歩きは禁物。近年の調査で歩くスピードが大事だということが立証されています。1分間に「165-年齢」の心拍数になるようなスピードでのウオーキングが最も効果的。これを超えると疲労物質が溜まりすぎて、循環器系に悪影響を及ぼします。さらに上がると心臓麻痺の危険性が増します。
一方、ダイエットを目的としたジョギングは、心拍数に加えて時速も重要です。時速7.5kmを超えるとカロリーの消費量が増えることが近年の調査結果から明らかになってきました。「20分以上運動しないと脂肪が燃焼しない」という説もありますが、人間はエネルギーを補充するために絶えず脂肪を分解しており、時間は関係ありません。
体幹にはバランスボール
現代人の寿命が延びたのは十分なカロリー摂取で丈夫な心臓をつくり上げたからです。しかし、体の中でその延びに追いついていけていないのが骨と筋肉。丈夫な骨と筋肉を維持するには、食事のみならず適度な運動が不可欠です。週に5時間以上運動している人は、認知症になる確率が5分の1になるという調査結果があります。これは丈夫な骨と筋肉を維持したから、とも言えます。転んで骨折して寝たきりの生活を送った結果、認知症になる方が少なくありません。
近年ではバランスボールを利用したトレーニングが普及していますが、やりすぎは禁物です。確かに筋肉と体幹を鍛える効果はあるし、転倒防止にも繋がるでしょう。
しかし、オフィスでイス代わりにバランスボールを利用すると、かえって腰を悪くするという調査結果もあります。運動に慣れていない人が使うと、バランスを崩してケガをする危険性も。これで寝たきり生活になっては、本末転倒です。