1日2ℓ以上の水を飲むといい

水を1日に2ℓ飲むと「代謝がアップして痩せられる」と数年前に話題になりました。しかし、一般の人はご飯などの固形物に含まれる分を含めて、毎日2.3ℓ程度の水分を摂取しています。にもかかわらず、さらに半ば強制的に水を2ℓ摂取すれば、明らかに水分過多です。

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水分はすぐに尿になって排出されるイメージがありますが、実は、腎臓が非常に複雑な仕組みを通じて尿をつくり出しています。その過程で膨大なエネルギーを消費するため、水を飲みすぎると体がだるくなる傾向があるのです。胃液が薄まって食欲は低下しますし、しかも、一時的に血液を薄めて血中のナトリウムやカリウムの濃度が低下するため、こむら返りや、時にはけいれんも起こりやすくなります。

これらは夏バテの症状と一致します。実は、夏バテの原因が、熱中症予防を目的とした水分の過剰摂取だった、というケースは少なくないのです。

納豆で血液サラサラ

ここ数年「血液サラサラ、ドロドロ」という表現を見かけますが、そもそも人間の血液の粘性を食べ物で簡単に変えられるわけがありません。火付け役はテレビの健康特集ですが、もしそんな食べ物があったら、毎日食べると大出血することになります。

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動脈硬化が進んで血管に血栓ができたり、心臓や血管の病気のリスクが高まった人は、抗血小板薬や抗凝固薬といった血栓を予防する薬(ワーファリンなど)が必要な場合はあります。この薬を患者さんにわかりやすく説明するために「血液をサラサラにする薬です」と医者が言うことがあります。

血液サラサラの食材としてよく納豆が挙げられますが、ワーファリンを飲んでいる人は食べないでください。納豆のビタミンKがワーファリンの効果を消してしまいます。

ちなみに血液の話題で言えば、最近耳にする「血液クレンジング」は効果が確認されておらず、お勧めできません。

魚の目を食べると目にいい

「魚の目を食べると目が良くなる」「レバーを食べれば肝臓が元気に」など、体の気になる部位と同じ部位を食べると病気が治る、とお爺ちゃんお婆ちゃんから聞いたことはありませんか?

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これにはまったく根拠がありません。発想はカニバリズムの習慣と似ていると思います。例えば村で村長が亡くなると、村人は村長の頭をかち割り脳みそを食べ「村長の知恵」をいただく。腕っぷしが強い人が亡くなれば筋肉を食べて強くなりたいと願う。古代に行われていた習慣を令和になった今も続けているのは滑稽です。

ですから「飲み会ではレバーを食べて肝臓を守る」のは意味がありません。消化吸収されたレバーが体内で都合よく肝臓に再合成されることはないし、アルコールを早く分解する効力もありません。

ちなみに魚の目はともかく、魚そのものをよく食べる人は心筋梗塞や脳卒中、認知症のリスクが下がります。