自己評価によって達成感を得る

3要素のひとつ、自分にとって価値あることの熟達を目指す「マスタリー」も、「タイプI」の行動の特徴です。この「マスタリー」に欠かせないのが、自らの進歩を自覚すること。本来なら、上司にフィードバックをもらいたいところですが、それが無理ならば、自分で自分を評価する機会をつくればいいのです。

月初にゴール(目標)を決めて、月末に進捗に対する評価を下す。どんな点で進歩し、どんな点で目標を下回ったか、もっと進歩するためにはどんなことが必要か……。それを振り返ることで、自分の進歩を確かめるのです。

少しでも前に進んでいることがわかれば、それが明日の自分のモチベーションにつながるはずです。

自分をワン・センテンスで表現する

いますぐできる試みたとえば……

いますぐできる試みたとえば……

自分が死んだあと、人にどのように思われたいか。理想とする自分の姿を思い描き、それをワン・センテンスで表現するのもよい方法です。

「上司の命令に従うだけで、とても惨めな人生を送った」と言われたいか、「健康に貢献する商品を開発して、人々の暮らしを改善した」「信頼される医師として、地域の子どもたちを助けた」と言われたいか。――そう自問することで、目指すべき方向が見えてくるのではないでしょうか。

なりたい自分にすぐになれるわけではないので、地道な努力を続けながら少しずつ近づけばいい。現状に不満がある人は、その状態から脱するために「今日できること」を書き出してみる。些細なことでもいいんですよ。理想の自分といまの自分に大きなギャップがあったとしても、長期的にその方向を目指して進むことが大切なのです。

たとえば、エクササイズをはじめるとき、「高校の同窓会に出席するために、減量したい」と考えるのは外的な動機づけです。それも有効だと思いますが、同窓会が終わったとたん、やる気がなくなってしまう可能性が高い。でも「家族のために、もっと健康になりたい」といった内的な動機なら、長期間の目的設定ができるので、モチベーションも維持しやすい。

それは仕事でも同じです。「誰かのために役立つビジネスをしたい」という長期的な目標があれば、短期間で燃え尽きることはないでしょう。

(ノンフィクション作家 梶山寿子=インタビュー・文 相澤 正=撮影)