米国の大統領選挙まで1年を切った。焦点はトランプ大統領が再選するかどうか。経営コンサルタントの小宮一慶氏は「米国民の投票判断は“自分ファースト”で、選挙当日の自分の懐具合を見て決めるようなところがある。トランプ氏の再選は、消費マインドに左右されるだろう」という——。
経済の状況で「次の大統領」が決まる
米国の大統領選挙まで1年を切りました。前回(2016年)の大統領選挙でトランプ氏が選ばれたことで、世界の政治情勢や経済情勢が大きく変わったことは皆さんご承知の通りです。次期大統領にトランプ氏が再選されるのか、はたまた別の候補者が勝利するのかは、米国だけでなく、世界の政治、経済状況に大きく影響を及ぼすことは間違いありません。
今回は経済的な観点から、米大統領選挙を分析してみます。
私の米国人の友人は、「大統領選でだれを選ぶかは、選挙当日の自分の懐具合を見て決める」といいます。共和党、民主党の熱烈な支持者ならその党の候補をもちろん選ぶでしょうが、支持政党なしやあってもそれほど強く支持していない場合には、私の友人のように考える人も少なくないでしょう。
実際、前回(2016年)の大統領選挙では、もともと民主党の支持基盤だったオハイオなどの中西部の工場労働者たちの多くが、トランプ氏を支持しました。工業地帯が疲弊し、貧富の差が広がる中で、「プアホワイト」と呼ばれる人たちが一気にトランプ氏を支持したのです。そうした観点からも、今回の大統領選挙でも、選挙の時期の景気の状況が大統領選を大きく左右すると私は考えています。