保守論客に数多く接する人は、リベラル論客にも数多く接している

選択的接触の強さは、接する相手がどれくらい偏るかで測れる。たとえば10人の論客に接しているとして、そのうち9人が保守論客、1人がリベラル論客だとするとかなり偏っており、これが6人対4人ならそれほど偏っておらずバランスがとれている。

そこで、接している保守論客、リベラル論客の人数を測り、その組み合わせの分布を見よう。なお、ここで接しているというのは、ツイッターでのフォローだけではなく、タイムラインも含み、さらにフェイスブックでのタイムラインも含むとする。すなわち、アンケート調査項目の(1)(2)(3)のどれかに該当すればその論客に接していると見なす。直接にフォローしていなくても、タイムラインにその人の発言がリツイートされて流れてくれば、その人の意見に接することになる。フェイスブックで直接の友人では無くても、その人の記事が流れてくれば結果として接することになる。

保守・リベラル別の接している論客の人数
出典:田中辰雄・浜屋敏『ネットは社会を分断しない』(角川新書)

図表2は、保守とリベラル別で見た接している人の数の分布である。縦軸は接している保守論客の人数、横軸は接しているリベラル論客の人数である。数値はそこに該当する回答者の数である。たとえば左下方の408という数値は、保守論客2人とリベラル論客1人に接する人が408人いたことを表している。

この表からまずわかることは、分布が右上がりなことである。したがって、保守論客に数多く接する人は、リベラル論客にも数多く接している。片方だけに偏る人は左上、右下に位置するがそのような人は多くはない。ちなみに、この図表から、論客4人以上に接している人の中で、その9割以上が保守あるいはリベラル論客になる人を求めると9.4%である。保守論客ばかり、リベラル論客ばかりの声を聞いている人は多くはない。