比較の仕方が難しいが、単純比較すると、新聞・テレビよりソーシャルメディアの方がむしろ選択的接触が弱い。2017年に日本居住者10万人に対して行った我々の調査では、「ネットを使うと穏健化する」「若年層ほど分極化していない」ということがデータで示される結果となり、『ネットは社会を分断しない』の第4章でその詳細を述べている。
ネットでの方が選択的接触が少なく、自分と異なる意見に接しているのなら、そうなるのも自然である。ネットではリアルより多様な意見に接しているため、人々が分極化せずむしろ穏健化しているというのは通説に反しており、注目に値する。
保守・リベラルの一方だけの意見に接する人は5%以下
選択的接触の程度を測る方法を考えよう。ネット上のすべての接触を網羅的に測ることは難しいので、まず、代表的ソーシャルメディアであるツイッターとフェイスブックに集中することにする。特にツイッターは、先に述べた2017年の我々の調査において分極化の可能性が出た唯一のメディアであり、さらに踏み込んで調査する価値がある。またツイッターはフォロー関係が外部からわかるので実態をつかみやすいという利点もある。
計測方法としては、具体的人名を挙げてその人をフォローしているかどうかを聞く方法をとった。選択的接触をしているかどうかは当人も気づいていないことが多いので、当人に直接にフォロー相手が選択的かどうかを聞いても意味がない。
たとえば、フォロー相手は自分と同じ意見の人が多いですかと当人に問うことは無意味である。当人としては自分と異なる意見の人を多くフォローしているつもりでも、客観的に見るとほとんど同じ意見の人ばかりということは十分に起こりうるからである。そこで、具体的な人名を挙げてその人をフォローしているかどうかで見ていくことにする。
そのために、まずネット上でよく話題にされている論客を選んだ。下記がその論客一覧である。
【山本 太郎】【宮台 真司】【江川 紹子】
【有田 芳生】【茂木 健一郎】【上杉 隆】
【蓮舫】【古市 憲寿】【津田 大介】
【原口 一博】【田原 総一朗】【東 浩紀】
【小泉 進次郎】【池田 信夫】【やまもといちろう】
【橋下 徹】【田母神 俊雄】【高須 克弥】
【岸田 文雄】【石平 太郎】【百田 尚樹】
【山本 一太】【西村 幸祐】【安倍 晋三】