選択基準はツイッターのフォロー数ランキングの上位者の中から、政治問題、社会問題について発言している人を選んだ。結果として芸能関係者などは除かれている。

アンケート調査で、ツイッターとフェイスブックのユーザに対し、これらの人名を示して、次の4項目から選んでもらった。

(1)ツイッターでフォローしている
(2)フォローはしていないがツイッターのタイムラインに出てくる
(3)フェイスブックで時々出てくる
(4)フェイスブックとツイッターで発言に接することはない
注:(4)以外は複数回答を許す

(1)(2)(3)のどれかを選んだ人はソーシャルメディアでその人の意見に接していることになる。(4)はその人の意見に触れることはない。

論客をフォローしている人々の政治傾向を計算する

選択的接触の度合いは、回答者が自分と同じ政治傾向の人ばかりに接しているかどうかで測られる。それを知るためにはこれら論客が保守かリベラルかを決める必要がある。論客リストの人の言動を知る人からすれば、普段の言動からその人が保守かリベラルかは自明とも思える。

しかし、客観性を確保するために、これら論客をフォローしている人の政治傾向を計算してみよう。選択的接触が行われているなら、保守論客には保守の人が、リベラル論客の人にはリベラルの人がフォローに入るはずである。上記の選択肢で(1)のフォローしていると答えた人の政治傾向の平均値を求め、大きさの順に並べ直したのが図表1である。

図表1で、たとえば上から6番目の安倍晋三(563)の値が0.84となっているのは、安倍晋三氏をフォローしている人が563人おり、それらの人の政治傾向の平均値が0.84であることを示す。値が正であると保守傾向、負であるとリベラル傾向なので、この図表は上から下へ、保守傾向の強い人からリベラル傾向の強い人の順に並んでいることになる。

論客27人のフォロワーの政治傾向
出典:田中辰雄・浜屋敏『ネットは社会を分断しない』(角川新書)