私たちの働き方や生活は、最新のデジタル・テクノロジーによって大きく変わる過渡期にある。激変の時代、ビジネスパーソンは何を学べばいいか。『アート思考』(プレジデント社)の著者で東京藝大美術館長の秋元雄史氏は「答えのない時代こそアートを学ぶべきだ」という。その理由とは――。(第1回/全5回)
※本稿は、秋元雄史『アート思考』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
アートを通じて、自分とは違う世界のありようを想像する
なぜビジネスパーソンは、アートを学んだほうがいいのでしょうか?
本稿をお読みいただくことで、アートとビジネスの驚くべき関係性がわかると思います。
アートは、アーティストたちの自由な発想により無限に拡大してきました。それと同様に私たちが生きる社会も産業や科学の発展により無限に拡大しています。我々人間にとってアートも社会も、時代の発展とともに変化し、広がっているのです。
アートはビジネスの世界から見れば遠い存在に思えますが、人間の営みという高みから俯瞰して見れば、少なからず共通点が浮かび上がってきます。
特に今のような不透明な時代においては、常識にとらわれないアートからのアプローチによって物事を捉え、ときに見直すことで、思わぬ解決策や新たな道が開かれるでしょう。
また、そこまでいかないまでも、幅広くアートの知識を得ることで、これまでと違う見方で社会の状況や人間の内面の変化について、学ぶことができるはずです。同時に私たちはアートを通じて、自分とは違う世界のありようを想像できるようにもなります。