イノベーションは「常識からの逸脱行為」から生まれる

ビジネスパーソンが、アーティストの創造性やものの見方を学んだからといって、すぐに彼らのような感性や思考法が身につくわけではありませんが、人生のどこかで行き詰まったとき、常識的ではない別の観点・視点で考えたいときに、アートはきっと役に立ちます。

秋元雄史『アート思考』(プレジデント社)

なぜなら絵を描くことや見ることといった芸術体験は、一種の「常識からの逸脱行為」だからです。アートはどこか常識を破ったところにあるものであり、その時代の合理性や論理だけでは測ることができないものです。我々は知らず知らずのうちに、常識にとらわれていますが、アーティストはそれらを軽々と乗り越えていきます。

ビジネスにおけるイノベーションもまた、そのような「常識からの逸脱行為」によって、生まれてくるものではないでしょうか。

そもそも「アートはビジネスにとって有用なのか?」といった問いが投げかけられる時点で、日本におけるアートの位置づけが、いかに特殊なものなのかがわかります。対照的に、欧米ではビジネスエリートたちにとって、アートはきわめて身近にある存在です。

単に文化的な教養としてのアートというだけの領域にとどまりません。ある経営者にとっては、経営哲学を学ぶ場所であったり、自らの創造性を飛翔させ、さらに磨きをかけるための対象であったりするのです。

イノベーティブな発想をするビジネスパーソンであれば、アートとの相性はいいはずです。ビジネスパーソンもアーティストと同様にクリエイティブな発想で仕事をすることが、仕事における新たな領域を切り開いていく上では必要だからです。

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