病気の早期発見で受ける「検診」は、多くが保険が効かない。このため、「自覚症状があるとウソをついたほうがいい」と言われる。本当だろうか。予防医療に力を入れるMYメディカルクリニックの笹倉渉院長は、「保険診療だから安く済むとは限らない。自由診療でも3割負担より安く済む場合もある」という――。
検診で自覚症状をでっちあげるとおトクなのか?
通常、がん検診など、特定の病気を早期に発見するための「検診」は自費負担となりますが、例外もあります。例えば女性が「胸にしこりがある」といった自覚症状があって乳がん検診を受けることになった場合には、保険適用で3割負担となります。検診の結果がどうであれ、保険が適用されるのに変わりはありません。
自覚症状の有無は申告があるかないか、それが全てです。患者がなんらかの不調を訴えているかどうかで10割負担か3割負担かが決まるのですから、自覚症状をでっちあげればおトクになるのではないか、と考える方も多いでしょう。
しかし、実は必ずしもそうとはいえません。たしかに自覚症状を訴えることによって検診を保険適用の3割負担で受けることは不可能ではありませんが、実は自分が加入している健康保険や居住する自治体が無料検診を提供しており、そもそもその3割の自己負担すら支払わなくて良い可能性があるからです。
まれに医師の診断を得るために「自覚症状」とされる症状を詳しく調べ詐病を行ういわば「プロ患者」の方がいますが、それよりも公的医療保険の仕組みや、保険診療と自由診療の違いを知った方がおトクだといえるでしょう。