自分がどんな健康保険に入っているか把握しているか?
そもそも、保険診療というものがどんなものであるのか分かっていない方が多いのではないでしょうか。
保険診療では、各疾患に応じて検査や治療内容等が決められており、その制限内での治療が行われます。医療費は通常、診療費用の3割を支払うことになります。
自営業や無職の方など、職場の健康保険に入っていない人が加入する「国民健康保険」は、都道府県が主体となり運営しています。検診は地域の医師会が行うことになり、自治体が定めるもののほか、受けられる補助もあまりありません。
一方、会社員の方が加入する職場の健康保険は、「労使折半」といって、会社と従業員が保険料を折半するシステムになっています。
この職場の健康保険の種類は、実は会社によって異なります。通称「協会けんぽ」と呼ばれる全国健康保険協会や企業が組織するそれぞれの健康保険組合の健康保険が一般的ですが、企業によっては、「単一健保」といって自社だけの互助会のような健康保険を作っているところもあります。
給料から保険料が天引きされるシステムなので自分の加入している健康保険がどんなものなのか意識する機会はなかなかないかもしれません。しかし、自分がどのような健康保険に加入しているかは、知っておいて損のない情報であるといえるでしょう。
自由診療が保険診療よりも安くなる場合もある
例えば健康診断は、労働安全衛生法によって、会社が年に一度従業員に受けさせなくてはならないと定められています。しかし、実は従業員にどのような検診を受けさせるのかは、健康保険組合や企業によって異なっています。財政的に余裕のある健康保険組合や企業では、従業員が提携医療機関を利用することで人間ドックを無料で受けられるようにしている例もあります。
がん検診などの検診についても同様で、一定年齢以上の社員には、健康診断の際、希望者に無料でがん検診や胃カメラを受けさせる企業もあります。
健康診断や検診、予防接種など、自由診療で行われるものに関しては、それぞれの健康保険組合が被保険者向けに補助を設けることができるのです。福利厚生の一環ともいえるでしょうか。例えば、最も加入者の多い「協会けんぽ」では、40歳以上の偶数年齢の女性は無料で乳がん検診が受けられます。
症状を訴えて保険適用で検診を受けることを狙うより、まずは自分の加入している健康保険について調べる方が賢いといえるでしょう。
また、保険診療と自由診療の違いについても知っておいた方がおトクです。場合によっては、保険診療より自由診療を選択した方が安く、希望に応じた診療や検査を受けることができます。
保険診療の場合には、それぞれ行っている医療行為に関して、診察費・検査費などの費用がかかります。自由診療の場合には、同じ診察などの医療行為をを行いますが、当院の場合のように検査費だけしか受け取っていない医療機関などもあります。結果として、保険適用の3割負担よりも低額になる検査もあります。
自由診療は各病院が価格を決定しているので、価格競争のため、実際には診察を行っていても診察費を取らないケースも少なくないのです。