対してS&P500は上昇トレンドで、優位性があることが一目瞭然です。TOPIXが史上最高値をつけたのは1998年12月で2884ポイントでした。その後、バブル崩壊で株価は下がり続け、2012年6月には695ポイントまで下落しています。最高値から4分の1以下の水準です。

以後は上昇に転じましたが、19年9月の時点で1600ポイント近辺です。30年を過ぎてもなお、最高値に遠く及ばない水準なのです。TOPIXのチャートは右肩下がりの曲線を描き、長期成長していないことが見て取れます。

対してS&P500のチャートは、きれいな右肩上がりを描いています。

98年12月に1200ポイント台だった水準が、19年9月には2900ポイント台まで2倍以上に上昇しています。リーマンショック後の2009年(一時730ポイント台)も超え、しっかりと右肩上がりで成長しているのです。米国株であれば、短期的には上げ下げがあるものの、長期保有ではリターンが得られたことがわかります。

安定した高水準の配当金も魅力

株式には売買によって生じる売却益(値上がり益)と、企業収益の分配として配当というリターンがあります。キャピタルとインカム(配当)です。

イギリスをはじめとするEU各国やオーストラリアの企業も配当の水準は高く、配当利回りが6~7%の企業もあります。しかし株価指数はさほどパッとせず、株価も一部を除いて横ばいであり、米国企業のように売却益もインカムも、両方期待できる企業は多くありません。

米国企業に高水準の安定配当があり、しかも成長性もあるというのは、やはり企業統治をはじめとする株式を成長させる仕組みがしっかりしているからです。

日本はこの辺りはゆったりしています。たとえば、日本は長きにわたって株の持ち合いがありました。株の持ち合いには、企業同士が株を持ち合うことで、経営を安定させるという狙いがあります。銀行を頂点としたこの持ち合いは、護送船団的で互助的な機能がありました。今も緩やかながら存在していますね。

一方、米国では投資家の目が厳しく、経営者の評価の仕組みが日本とは全く異なります。日本では、不祥事でも起きない限り経営者が退場させられることは、そうありませんが、米国では経営上の成果が出なければ経営者は交代ということになります。