脳回路のつながりが悪いと問題解決ができなくなる

しかし、毎日マニュアル通りに決められたことばかりやっていたらどうなるでしょうか。当然、刺激が少なくては脳内の道路工事も行なわれません。新しい道もできず、いつもと同じ道をいつも通りに通ってばかりで、道路網は不便なままずっと変わらないことになります。

そういう道路網では、問題を解決しようというときに、道がなくて答えにたどり着けなかったり、道があっても答えに行き着くまでにとんでもない遠回りをしなくてはならなかったりします。そして、このように脳回路ネットワークのつながりが悪いと、融通や応用がきかず、回路を効率よく使えないまま、脳活動が停滞しがちになってしまうのです。

要するに、役所の公務員の場合、この停滞パターンに該当しているのではないかというわけですね。もちろん人によりけりだとは思いますが、よく役人が「いつも型通りの対応ばかりで融通がきかない」とか「自分の担当のことしかやってくれず、あとは全部タライ回しにする」とか言われてしまうのも、このあたりに原因があるのかもしれません。

「若いうちの苦労は買ってでもしろ」は脳科学的にも正しい

奥村歩『「朝ドラ」を観なくなった人は、なぜ認知症になりやすいのか?』(幻冬舎)

別に役所の公務員でなくても、“最近、自分もマンネリ気味で刺激の少ない毎日を送っちゃってるなあ”という方は多いのではないでしょうか。そういう方は、将来ボケないためにも、「脱マンネリ」をはかっていかなくてはダメ。日々心がけて脳がよろこぶ刺激を入れ、どんどん新たな道をつくって道路網のつながりをよくしていかなくてはならないのです。

それと、あまりに歳をとってしまうと、新しい道をつくるのはけっこうしんどくなってくるので、なるべく若いうちにさまざまなことにチャレンジして刺激をインプットしていくことをおすすめします。アクセスのいい脳の道路網ネットワークをつくっていくには、若いうちからせっせと道路工事をしてたくさんの道路をつくっておくほうがいいのです。「若いうちの苦労は買ってでもしろ」と言いますが、これは脳科学的にも正しいことなんですね。(続く)

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