ビジネスで大切なことはすべて東大野球部で学んだ

そうした考え方の原点は東大野球部での経験だ。

高校時代も野球部だったが半レギュラーだった。だが、大学では1年春から公式戦に出場、2年春からレギュラーに定着し、4番を任された。のちにプロ野球選手となる投手からホームランをかっ飛ばすスラッガーになったのだ。

「(大学4年間の公式戦で)トータル70試合ぐらいに出て、通算ヒット数は61本。東大では史上2番目に多い。ホームランも計5本。これも東大野球部史上2番目です」

ただ、東大の野球部で学んだことはバッティングの技術的なことだけではない。

「東大野球部という集団の中では主力選手になれましたが、ご存じのように東大は弱いから全然勝てません。『みんなで協力しようぜ』と言ってもうまくいかない。部員は偏差値が高く、みな弁が立つから扱いにくい。負け続けると組織はまとまらないんです。(春と秋の)リーグ戦全20試合のうち1勝をどう挙げればいいかと考え続けました。4年生の時に立教大にやっと1勝した時は、こんなにうれしいことが世の中にあるのかと思いました。仕事でも集団としてそんな感激を味わうのが目標です」

復興支援をテーマにしたカタログギフトの商品ラインアップも

みんなで1勝するためのメンタルの持ち方。これが弱小野球部で学んだ一番、貴重なことだという。

「野球のあの敗北感、手詰まり感から弱者の戦い方も身につけました。僕の会社も弱者ですけど、東大野球部で耐えてきましたからね。事業はいかに長く続けるかが大事。野球にたとえれば、仕事は練習するような状態。売り上げが悪かったら、それは試合で打てなかったのと同じ感覚。たとえ打てなくても、諦めずに練習メニューを変えてもう一回やってみようかと取り組みます。東京にあるベンチャー企業は『上場すること=試合で勝つこと』といったような感覚でしょうが、僕はそれを狙っているわけでないんで。もっと地道にやっていきたい」

「地元カンパニー」のカタログギフトから

児玉さんは将来、近くにある空き家などを利用して無償の塾や学習施設を開きたいと思っている。また、地球環境問題、貧困問題、フードロス問題に以前から関心があり、カタログギフトでもそれに関連した商品を増やしたいという。

「最近、カタログギフトに復興支援をテーマにした商品ラインアップを加えました。大地震や大型台風、豪雨の被害を受けた地域の産品を集めたギフトです。今後もこうした方向性を強化したい。社会全体が少しずつよくなる、潤うというのが僕が理想とする世界。地に足をつけながら業務を徐々に拡大すべく、今年中には再び、東京に事務所を置くことも考えています」

今年10月、長野県武石も大雨による被災にあった。北陸新幹線が一時、不通になり、運送業も停滞した。すぐ近くの川の護岸が崩れ、道路が陥没。移動手段が失われる社員がいた。ただ、こういう時にこそ、ITの強みがある。

「電話やウェブでできることに集中できた。かえって、うちの魅力を伝えられたと思います」

今、その時、やれることをやる。その場所で最善を尽くす。児玉さんは自分の生き方の基本理念を緑の木々、山に囲まれた集落で実践していく。

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