また、コンプレックスに動かされると、人は「自己モニタリング」ができなくなります。これは、モニターカメラで自分自身を監視し、周囲の反応などを見ながら自分の言動をコントロールする心理的な機能です。ところが、強いコンプレックスに駆られると機能不全に陥り、先のような見苦しい態度や姿を平気でさらしてしまうわけです。

鏡映自己で自信を高める

実は、高学歴の人が学歴をひけらかすのもコンプレックスの表れです。自分に本当の自信がなく、勉強に励んだ人は、学歴をひけらかさずにいられません。ちなみに、いまの若い世代は先々に対する冷めた考えを持ち、「学歴なんか意味がない」と達観しているように見えますが、大学や大学院の教壇に立っている私の実感からすると、学歴コンプレックスは根強くあります。

あなたが高学歴で、上司や同僚から嫉妬されている場合、一番いい対処法は“大人の対応”に徹することです。相手は学歴コンプレックスに苦しんでいるわけで、「学歴で優位な立場にある自分が、少しくらい嫌な思いをするのも仕方ないよな」と鷹揚に構えましょう。そして先のようなケースでは、「こんなミスをして申し訳ありません」と頭を下げてしまうのです。

また、学歴に振り回されないためには、それ以外で自信が持てる評価軸を確立しましょう。「誰とでも仲よくなれる」「取引先にかわいがられる」などは、ビジネスで大きな強みになります。でも、そうした評価軸を自分で探すのは難しく、同僚や友人に率直な意見を求めるのが有効な方法です。心理学では「鏡映自己」といい、人を鏡にして、その人の目に映る自分の姿を知るわけです。そうすれば、高学歴の人はさらなる自信を得て、周囲の学歴コンプレックスなど気にならなくなるでしょう。

【対策】学歴コンプレックスには、平身低頭に限る

(構成=田之上 信)
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