外食も買い物も「スイカ」で支払う習慣が浪費の元凶

次は、「変動費」です。これまでは養う家族がいないことをいいことに、自分の好きなように使っていました。食事は、外食やデリバリーが中心で、自炊の比率が少ないようです。気分転換に料理をすることは好きだということでしたので、その比率を多くし、外食などの回数を減らすようにしていきました(外食費6万5000円→4万3000円)。

日用品は、見た目は月に6000円しか使っていないことになっていましたが、交通費の名目で使われている(Suicaなどで支払い)日用品費を含めると、毎月1万3000円ほど使っていたことがわかりました。

吉原さんの支出の内容を細かくチェックすると、クレジットカード、電子マネーでの支払いが費目分けされていませんでした。つまり、外食をしても、日用品を買っても、スーパーで食品を買っても、Suica(スイカ)など交通系電子マネーで支払えば「交通費」となったままだったのです。

キャッシュレス決済は現金より支払いがスムーズですし、今なら国の消費増税対策で「ポイント還元」されているのでお得感があります。しかし、そうした便利さや目先の利益に惑わされると、不要な出費が増え、たちまち家計がおかしくなってしまいます。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/claudenakagawa)

吉原さんも「何でもスイカ支払い」を改める必要がありました。その他の支出を切り離してみると、純粋な交通費は月に1万円もかかってないことがわかりました。

競馬や美術館巡りといった趣味費の掛け方も見直しました(計5万1000円→2万4000円)。競馬は観戦中心、美術館ではグッズ購入をせず、観賞を中心にすることにしました。

さらに、タバコはこれを機にやめよう、などとできる範囲での削減案も出てきて、積極的に取り組むことにしました。実践できれば、かなりの支出削減が可能になります。

「スイカは交通費専用に」決済方法をルール化する

吉原さんは、収入が減るとか、物件価値が下がったことばかりを気にしていました。しかし、実は一番単純で効果が出やすい家計のコスト最小化にあまり目を向けなかったのです。

そもそも収入の全てを毎月使い果たし、マンションを売って老後の資金を手にするといったうまい話はなかなか実現できないものなのです。

少しお金の使い方を変えると、支出の削減につながることがわかった吉原さんは、今、わかりやすい支出を目指しています。地味に手書きで家計簿をつけるということは自分に向いていないし、家計簿アプリを細かく設定することも向いていないことがわかったので、家計簿アプリの利用の仕方を変えたのです。アプリの使い方というより、「決済方法の使い方」を変えたというほうが正しいでしょう。

・交通系電子マネーは、交通費専用に。
・ドラッグストアで使いやすい決済アプリをスマートフォンに入れ、それを日用品の決済専用に。
・クレジットカードは食品に。
・もう一つのカードはその他の決済に。

以上のように決めて、そのすべてを家計簿アプリにひもづけるのです。すると、費目別に管理をしなくても、決済方法を見ると何に対する支出かがわかります。