中国の市場力に、あのNBAもすぐに白旗をあげた

NBA(米プロバスケットボール協会)のチームのひとつ、ロケッツの幹部が香港デモの若者たちに共鳴してツイートした。香港の若者たちが「自由のために闘おう」と既存メディアやネットを通じて海外にも発信しているからだ。

撮影=的野弘路
9月21日23:13 香港 元朗(ユンロン)。市民の頭上で炸裂する催涙弾。煙に曝されるとむき出しの皮膚が焼けるように痛む。

ところが、である。中国当局から強い反発を受け、ツイートの削除を余儀なくされた。そのうえNBAは「発言が不適切で深く反省している」との声明まで出した。

背景にはこんな歪んだ構図がある。いま中国ではNBAのテレビ中継の視聴者が何億人もいる。広告を出すスポンサー企業にとって中国は金のなる大木なのだ。スポンサー企業はそんな中国を大切にする。NBAといえども、スポンサーには勝てない。簡単に言えば、中国の市場力にアメリカのプロスポーツ界が負けたのである。

香港を「対岸の火事」ではなく、「他山の石」にしたい

自由と民主主義を求める香港。これに共鳴したアメリカのスポーツ界。しかし中国政府が成り上がったその経済力を武器にしてクレームを付ける。

これと同じ構図が日本国内でいつ起きてもおかしくない。いやもうすでに起きているかもしれない。

相手は共産党による一党独裁国家である。人口は14億人と世界第1位、経済規模はアメリカに次ぐ第2位だ。NBAがクレームに屈したように、中国が市場力を背景に頻繁に文句をつける事態となれば、日本の社会から自由が失われ、民主主義そのものが成り立たなくなる。沙鴎一歩はこれを強く懸念している。だから香港の問題をたびたび取り上げているのだ。

撮影=的野弘路
9月21日23:07 香港 元朗(ユンロン)。ガスマスクを装着し、催涙弾の使用を警告する警官隊。

香港の民社派市民や学生、若者たちの中国に対抗する活動は「対岸の火事」ではなく、「他山の石」だ。そう捉えることで、日本は中国と真っ当に勝負できる。あのふてぶてしい面構えの習近平国家主席を黙らせることができるのだ。