スマホメーカーがなかなか取材に応じてくれない

なぜ、新型iPhoneと同時にスマホケースも販売できるのか?

なぜ同時にケースも販売できるのか……。※写真はイメージです(写真=iStock.com/byakkaya)

その謎を解くために、スマホケースを取り扱う大手メーカーに問い合わせてみた。しかし、即答で「答えられません」と一言。「そこをなんとか」と粘ってみたものの「お話しできることは何もありません。他のメディアからも同様の取材をよく受けるんですが、全て断っています」と、取り付く島もなかった。

取材先のあてがなくなり困り果てていると「そろそろ私の出番ですね」と、プレジデントオンラインの編集担当I氏が登場。都内にあるスマホグッズのお店を紹介してくれた。

「うちの編集長がiPhone11のケースを買ったお店なんです。ちょっと問い合わせてみてください」

貴重な情報を入手して、早速、取材を申し込んでみる。しかし、何度電話やメールで問い合わせても、担当者不在で折り返しの連絡もなし。

使い物にならない情報を摑ませんじゃねぇよと、I氏に軽いいら立ちを覚えながら、再び振り出しに戻って新たな取材先を探すことにした。

自分の人脈が底をつきかけた頃、ネット業界に詳しい知人が「この人だったら取材を受けてくれるかも」と、スマホケースの卸とネット販売をしている企業を紹介してくれた。

兵庫県姫路市の「松平商会」の奥平哲也さん。「僕の知っている限りの話でよろしければ」と取材を快く引き受けてくれた。本当にありがとうございます。次に自分がiPhone11を購入した際は、必ず奥平さんのお店でスマホケースを買わせていただきます!

発売前に図面が流出している

早速、新型のiPhoneと同時に、スマホケースが市場に出回る事情を聞いてみた。

「iPhoneを製造している中華系の工場から、発売前のiPhoneの図面が流出しているんですよ。スマホの内部の精密機械の情報ではないので、工場で働いている人たちでも簡単に持ちだせますからね。そういう情報をスマホケースのメーカーが買い取って、発売前に新しいケースを作って流通させているんです」

奥平さんいわく、今回発売されたiPhone11 Proも、発売前には新しいスマホケースが展示会には並んでいたとか。しかし、情報漏えいにうるさそうなアップルから、そう簡単に発売前のスマホの情報を持ちだすことができるのだろうか。

「その辺の事情はよく分からないんですが……おそらく、日本よりも海外の人たちのほうが終身雇用にこだわっていないんだと思います。情報を持ち出してそのまま工場を辞めてしまう人もいると思うし、見つかってクビになっても、次の仕事を探せばいいやと気楽に考えている人も多いと思います」

この話は大いに納得するところである。社員に「いつでも辞めていい」という気持ちがあれば、モラルに反した行動をいつ起こしてもおかしくない。発売がすでに決まっていれば、「スマホのサイズの情報ぐらい持ち出してもいいだろう」と考えてしまう心理状況にも納得がいく。