20世紀の音楽を語ることによって、20世紀を語ってしまおうというのが、本書である。

「クラシック音楽」として括られる西洋音楽は、西欧が生んだ芸術の中でも頂点にある芸術といっても過言ではない。演奏家が音を鳴らし始めて、演奏を終えて静寂が戻るまでが、音楽である。複製技術が進むまで、音楽は、まさに束の間の時間に消えてしまう芸術であった。もちろん楽譜という形で、保持はされるのだが、音楽の本質は、演奏家が演奏をしている時間、つまり、音が鳴り、旋律や和音が響く演奏が終わり静寂に戻るまでの時間が基本の芸術である。