自身をビーラカンスと呼ぶベテラン工学部教授の長編エッセイである。20代の学生からみると60歳の教授はシーラカンス。70歳はその上をいくビーラカンスだというのだ。失礼だが、そもそもシーラカンスを持ち出してくるだけでも年代を感じる。

しかし、理工系の大学の内部について、これほど具体的に語りつくした本を読んだことがない。しかも、筆致は軽やかで、ユーモアも上等だ。一気に読めて、まずはなぜ日本の製造業が世界最強だったのかという謎が解ける。

工学部出身者、すなわちエンジニアの鉄則として「納期厳守」「頼まれたことは断らない」「他人の話は最後まで聞く」「拙速を旨とすべき」などがあったという。彼らのおかげで日本は一時的にでも製造業の頂点に立つことができた。