都市部の親が結婚させたがる「フェニックスマン」
ごく最近になって、プライドの高い上海や北京の親たちが、逆に娘を喜んで結婚させたいと願う地方出身者も登場しました。「鳳凰男」です。フェニックスマン。地方出身者ですから、基本的に家はもっていません。でも、将来性がある。
では、彼らは会社でどのような待遇を受けているのか? プチ富裕層のふところ具合をさぐりながら、なぜ離婚が増えているのか、女性の購買力がどうしてこんなに高いのかといった問題を、ここでは考えたいと思います。日本のインバウンド関係者にとってもビジネスのヒントになると思います。
鳳凰男に厳密な定義はないのですが、私のイメージでは、こんな感じです。
地方の出身者で、必死に勉強して大都市の一流大学に進学。卒業後はBAT(百度、アリババ、テンセント)のようなIT系や金融系の一流企業に就職。入社して5年ぐらいたてば年収1000万円を当たり前にもらう男性たちです。
結婚した途端、生活の違いが浮き彫りに
日本にもかつて「3高」という言葉があったそうですね。結婚相手に対しては、高学歴、高収入、高身長を求める。中国の場合、ルックスはさほど重視しません。でも、収入は何より重視する。
鳳凰男は離婚するケースが多い印象があります。結婚した当初は、二人だけの生活だからいいのです。鳳凰男も都会のマナーや生活スタイルを身につけている。でも、子供が生まれると、中国では祖父母が面倒をみるのが一般的です。田舎から鳳凰男の両親が出てきて、風習の違いでもめることも少なくない。
実際、知り合いの日本人女性も、これが原因で鳳凰男と離婚しています。日本では1日に3回も赤ちゃんをお風呂に入れたりします。ところが、中国の田舎、特に水が貴重な地域では、1週間に1回が常識だったりする。こうした違いが積み重なって喧嘩のもとになり、うまくいかなくなるケースもあるわけです。
それにしても、20代で年収1000万円はすごい。そこで、BATの給与体系や福利厚生について、ちょっと調べてみました。プチ富裕層がどのぐらい稼いでいるか見えれば、彼らの消費力の秘密にせまれると考えたからです。
初任給は普通でも自社株がすごい
代表的なのはアリババです。非常に若い会社ですから、八〇後(1980年代生まれ)と九〇後(90年代生まれ)で社員の89パーセントを占めます(2016年時点)。エリートの八〇後や九〇後がどれだけ給料をもらっているのか知るには最適の会社でしょう。
初任給は年収15万元(約240万円)のスタートで、ボーナスはマックスで6カ月ぶん。9割の人は3カ月ぶんもらっているそうです。合計すると、だいたい19万元(約300万円)ぐらいということになります。