「結婚相談所」だが必ずしも結婚しなくていい

③子どもの反対

財産とは関係なく、何があっても親の結婚には反対だという子どももいる。それでも新たに出会った相手と生活を共にしたいと願う場合、法律婚は諦めるカップルもいる。

ここでひとつ疑問が湧く。結婚相談所とは、そもそも「結婚相手」をあっせんするところのはずだ。必ずしも法律婚を目的とせず、ただつきあう相手がほしいという人が交じっていると、トラブルにはならないのだろうか。中高年に特化した結婚相談所「茜会」の立松清江さんに、そのあたりのことをうかがってみた。

「茜会も当初は、いわゆる戸籍上の結婚を目標にしていました。でもシニアになると、お子さまのこと、財産のことなどさまざまな事情があります。そういった事情やしがらみを加味すると、必ずしも入籍婚にこだわらないというのが、今のシニア婚活のスタイルです。入籍婚を希望している方もいれば、入籍は望まずパートナーを探している方もいらっしゃいます」

だがお互いの要望が違うと、トラブルの元になる。そこで入会時に、「入籍を希望する」「入籍は希望しない」「今は決められないが相手次第で考える」の3通りから、自分のスタンスを選んでもらっているそうだ。

「ただ、お相手が見つかっておつきあいをしていくなかで、入籍は考えていないとお答えだった方が、この方だったらということでご家族にも相談し、賛成してもらって入籍を選んだケースもあります」

結婚の形は時間をかけて決めればいい

どういう形を取るかを含めて、茜会では、早急に結論を出すことは勧めていない。

篠藤ゆり『ルポ シニア婚活』(幻冬舎)

「年配になってからの出会いなので、もうあまり時間がないと、気持ちが焦っている方もおられます。でも答えを急ぎすぎると、うまくいかないケースがよくあるんです。

一番多いのは、ご家族の反対です。ある日突然『この人と結婚します』と言ったら、お子さんはびっくりしますよね。時間をかけて相手を見極め、ご家族の理解も得たうえで次のステップに進んでいただきたいというのが、私どものスタンスです。

また、年配になってからの結婚は、長い期間、まったく異なるライフスタイルを営んでこられたお2人、ということになります。ですからいきなり同居というのも、なかなか難しいのが現実です。

そこでお互いに行ったり来たり、通うスタイルを取る方もいらっしゃいます。あるいは同居はするけれど、籍はあえて入れず、まずは様子を見る。家族の理解が得られたら入籍も考えるけれど、財産の問題やお子さまに遠慮して、籍を入れない方も少なくありません」

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