超人とAIによる「支配」は起こらない

【岡本】それはそうですね。おそらく頑張ったところで、自分が変わるという感覚をもたないというかもてない部分がやっぱりある、ということになるんじゃないですか。

だって実際にそうでしょう。デキる人のデキる場面を見たときに、(あまりデキない)自分がやっても同様にデキるとは到底思えないことってたくさんありますよね。小さな子どもだって、そういうことを感じることはあるはずですよ。それを自覚しながら大きくなるという面はありますよね。ですから、あらためて言わなくても、もうすでにそうした方向には動いている。おそらく全世界的にそうした新しい人間観や人間像を模索する時代に入っているんだろうと思います。

岡本裕一朗・深谷信介『ほんとうの「哲学」の話をしよう』(中央公論新社)

ただ、人間が超人化と動物化に分かれていく、などというと、超人化した人間がAIとタッグを組んで、動物化した人間を支配するといったステレオタイプの未来像を描きがちですが、そういうことにはならない。

まず、超人化と動物化というのは、それほどきっちりと分けられるものではないですからね、しかもそのあいだにAIが入ってくるかもしれない、となれば支配と被支配といった単純な関係性にはならないはずです。

また、社会が成立するためには、超人化する人たちにとっては絶対に動物化する人たちが必要ですし、逆も言えるので、双方もちつもたれつの関係になっていくのではないでしょうか。

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