あおり運転が軽微な犯罪? と訝しむかもしれない。しかし、現実に罰則は軽い。あおり運転で人を負傷・死亡させれば危険運転致死傷罪が適用される可能性があるが(死亡は懲役1年以上最長20年)、あおり運転そのものは道路交通法違反で、急にブレーキを踏んで後続車に回避行動を取らせる急ブレーキ禁止違反は3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金、急に車線変更して後続車を困らせる進路変更禁止違反は5万円以下の罰金にすぎない。
放火のように、死傷者が出なくても重罰が科せられる罪もあるのに、一歩間違えれば大惨事になるあおり運転の罪は、ごく軽微なのが現状だ。
ドラレコ敬遠の理由は車内不倫?
今後も同様の事件が続けば、厳罰化が議論されるかもしれないが、悠長に待ってはいられない。身を守る方策はあるのか。おすすめは、後方の録画ができるドラレコの設置だ。
「運転者を特定するには、カメラを後ろに向けて前から顔を録画すべき。いまは360度撮れる製品もあります」
平塚氏によれば、こうした事件が頻発しながらドラレコの普及率が意外に伸びないのは、車内での不倫・密会の様子が記録されることへの警戒も一因だという。
「スマホのドラレコアプリを使えば、逐次ロックがかけられるので安心ですよ(苦笑)」
理想は、そもそもあおり運転を未然に封じることだ。
「あおり運転をする者は、顔を撮影されることを何より嫌がります。最近は『ドライブレコーダー録画中』というステッカーも市販されているので、それを後方に貼ってアピールしてはどうでしょう」
(コメンテーター=証拠調査士 平塚俊樹 図版作成=大橋昭一)