社員の副業解禁で新たなリスク
吉本興業の所属タレントが詐欺グループの宴会で“闇営業”をしていた問題は、企業経営者や人事担当者にとって他人事ではない。副業解禁の波が押し寄せている今、副業を始めた社員が、会社の知らぬところで反社会的勢力(以下、反社)と関係を持つ可能性は十分にある。吉本興業は当該タレントの処分で揺れたが、一般企業で社員が副業を通して反社と関わったら、どう対応すべきか。弁護士の渡邉宙志氏が言う。
「副業で反社と利益供与の関係が継続的にあれば、社会的な非難は免れず、企業としても懲戒処分にせざるをえないでしょう。根拠は就業規則。反社との関係を禁止する条項があれば理想的ですが、社員として相応しくない行為を懲戒事由とする一般条項でも処分は可能です」
もちろん、処分できるかどうかは程度問題だ。過剰に反応して重い処分を下せば、懲戒権を乱用したとして逆に訴えられるリスクもある。
たとえば、プログラマーが副業で反社からの依頼で違法なサイトを制作したとしたらどうだろうか。最近はネット上でフリーランスに仕事を発注できるサービスが人気で、社員が反社と知らずに引き受ける恐れがある。