相手の素性や仕事の内容を確認すること
「知らなかった、薄々知っていた、知っていた、の各段階によって責任は違いますが、反社とは知らずに単発で受注していただけなら、処分は難しいです。ただ、たとえば違法なサイトだと知っていたなら処分は可能。反社以前に、犯罪やそれに類する行為を禁止する一般条項にひっかかります。社員としてはネットだけで完結させず、受注前に直接会うなどして相手の素性や仕事の内容を確認することが大切。怪しいと感じたら、引き受けるべきではありません」
反社経営の風俗店や飲食店でバイトするケースも、ポイントは雇い主が反社だと知っているかどうかだが、暴力団と違って半グレなどは、外見では判別できぬこともある。
「半グレの多くは飲食店やクラブ経営などの正業を持っています。それらの事業自体は合法なので、反社だと知らなければ処分は難しいかもしれません。ただ、副業を解禁している企業の多くは、副業を届け出制にしています。キャバクラで働くとは社員も言いづらく、無申請あるいは虚偽の申請をしている可能性は高い。その行為が処分の対象になることはありえます」
企業として重要なのは、事前にトラブルを防ぐこと。副業の申請時に誓約書を提出させたり、コンプライアンス教育を実施するなどの対策が必要だ。渡邉氏は言う。
「反社は巧妙なので、バイトしてから気付くケースも考えられます。このときに処分を振りかざすだけでは、社員は処分を恐れて会社に報告しないかもしれません。適切に対処するためには、社員が報告しやすい雰囲気が大事。『トラブルがあればみなさんを助ける』というメッセージを送るなどして、社員と信頼関係を築くことが大切です」
(コメンテーター=プロアクト法律事務所 弁護士 渡邉宙志 図版作成=大橋昭一)