「京野菜の本場」大原の農地は意外と狭い
【有坪民雄(専業農家/『農業に転職!』著者)】三千院や寂光院でも知られる京都の大原といえば、聖護院大根や九条ネギ、万願寺とうがらしといった京野菜の本場というイメージがあります。渡辺さんもそういった野菜を中心に育てているのですか?
【渡辺雄人氏(ヴィレッジトラストつくだ農園)】実は、この大原は全部で40町歩くらい(約40ヘクタール)の農地しかないんです。その中には棚田も多いうえに、山に囲まれているのでイノシシやシカなどもいるので、農業がやりやすい場所だとは言えません。
ですから、「大原が京野菜の本場」というのは、イメージが先行してしまっているように感じます。見ていただければわかるように、農村地域であることは間違いありませんけども。
【有坪】実態はどうなのですか?
【渡辺】農家の数としては100戸超です。「里の駅 大原」という農産物の直売所があるのですが、そこの出荷者も100戸くらいです。
「京野菜の本場」というイメージがあるのは、メディアの影響かもしれません。というのも、大原は市街地から20分ほどとアクセスが良いので、京都の料理人さんとじかで取引している農家さんがおられます。その様子がテレビで紹介されることがあるからです。
そのうえ、うちも含めた複数の有機農家がインターネットやマルシェなどで露出していることも関係しているかもしれません。