「医薬部外品」は飲食料品ではない

軽減税率の対象の一つは、飲食料品です。しかし、食べられるものが軽減税率の対象といっただけでは、基準があいまいです。例えば虫や野生のキノコなどについて、好んで食べる人もいれば、食べられない人もいることでしょう。そこで消費税法は、軽減税率の対象となる飲食料品を、「食品表示法」という法律で食品とされるものに限定することにしました。

食品表示法とは、販売用の食品について、原産地や賞味期限、保存方法等を表示するように定めている法律です。したがって、食品表示法が適用されるものを軽減税率の対象とすることによって、食品と食品以外の基準を明確にしようしたわけです。

軽減税率が適用されるかどうかのグレーゾーンにあるものを例で挙げてみます。健康食品や、トクホと呼ばれる特定保健用食品は、食品表示法の規定では食品に該当しますので、軽減税率の対象になります。しかし、医薬品や医薬部外品は、食品表示法上の食品には該当しませんので、軽減税率の対象にはなりません。

したがって、清涼飲料水であるオロナミンCは軽減税率の対象で「税率8%」ですが、医薬部外品であるリポビタンDは軽減税率の対象ではないので「税率10%」となります。

同じものでも販売の目的によって税率が変わる

軽減税率の対象となる飲食料品は、人の食用または飲用のものに限られています。例えばお塩の場合、食塩や食卓塩として販売されているものは、人の食用ですので軽減税率の対象ですが、ボイラーソルトなど、工業用の塩は軽減税率の対象にはなりません。

同様にお米の販売も、すべてが軽減税率の対象になるわけではありません。お米のうち、食用として販売しているものや、せんべいなどの食品の材料として販売されるものは軽減税率の対象ですが、家畜の飼料や、食用ではないのりの材料として販売される場合、あるいは栽培用の種もみとして販売される場合には、軽減税率は適用されません。

注意が必要なのは、日本酒の材料として販売されるお米です。酒類は軽減税率の対象から除かれていますが、お酒の原料として販売されるお米は酒類ではないので除外されません。人の食用(飲用)に用いられるものとして軽減税率が適用されます。