ライバル店が全国に増加中

和食レストラン「和食さと」で知られるSRSホールディングスは、「天丼・天ぷら本舗 さん天」を12年から始め、現在関西を中心に約40店を展開する。「39天丼」と銘打った、390円という圧倒的な安さを誇る天丼を武器に成長を続けている。

うどんチェーン「丸亀製麺」を展開するトリドールHDは、関西を中心に天ぷら専門店「まきの」と「天丼まきの」を計13店展開。店舗網を拡大している。

牛丼チェーン「松屋」を展開する松屋フーズHDも、380円の天丼などを提供する「ヽ松(てんまつ)」を2016年にスタート。新業態ゆえに現在は神奈川県の1店舗のみだが、軌道に乗り次第店舗網拡大を目指すだろう。

天ぷら・天丼は、油で揚げる手間がかかるうえに、キッチンが汚れやすく、後片付けも面倒なため、家庭で作るメニューとしては敬遠されがちだ。特に今は、夫婦の共働き化や女性の社会進出が進んだことで、料理に時間をかけられない人が増え、家庭での揚げ物の調理頻度は減少傾向にある。そうなると当然、「揚げ物は外食や中食で食べよう」ということになってくる。こういった需要を取り込むため、外食各社は天ぷら・天丼店に力を入れているわけだ。

キャッシュレス・セルフサービスの実験店を設置

てんやは今のところ、業界において圧倒的な地位を築いている。だが、競合他社に取って代わられないとも限らない。さらなる競争力向上が必要だ。

そうしたなか、ロイヤルHDは業務の効率化と利便性の向上を試す天丼店「大江戸てんや」を18年10月に東京・浅草にオープンした。

同店では現金が使えず、支払いはクレジットカードなどキャッシュレス決済に限定。金銭授受やレジ締め精算の手間を省いた。注文はタブレット端末で受け付け、注文情報は厨房のモニター画面に表示する。

この画面には盛り付け方法がイラストで表示され、シニアや外国人の従業員でも簡単に調理できるようになっている。さらに、調理された商品は客が受け取りに行き、食べ終わった後の食器も客が返却する。セルフサービスを徹底し、配膳の手間を省く。