2:新卒で入社後も「働き続けることの苦悩と葛藤」

就職氷河期世代の女性の苦労は就職時だけではありません。

厚生労働省によると、女性の育児休業取得率は、2018(平成30)年度の82.2%に対して1996(平成8)年は49.1%となっています。就職氷河期時代に正規雇用の職に就いても、仕事と家庭の両立を支援する制度が十分に整っている会社は少なかったからと考えられます。

インタビューでは、多くの就職氷河期世代の女性がかつて直面した、働き続けることについての苦悩と葛藤を垣間見ることができました。

「今は女性の活躍を後押しする流れで働き方も変わってきました。しかし、当時の職場環境では、気力、体力、精神力がないと、結婚、出産後に仕事を続けるのは難しかったです。誰に言われたのかわかりませんが、今と違って、自分自身、結婚したら専業主婦になり、子どもが3歳になるまでは子育てを専念しなければならないという、固定的価値観に縛られていました」(40代前半・事務)
「苦労して大手企業に入社しましたが、年配の男性が多い部署にいたので、(出産ではなく)結婚をしたら当然退職する、という雰囲気があり、自分も結婚後に退職をしました」(40代前半・専業主婦)

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今まで同じ会社で働き続けられた理由「一言で表すと、忍耐」

「当時としては珍しく、女性の管理職も活躍しており、結婚・出産後も働き続けることができる職場でした。ただし、長時間労働や高い営業ノルマを求められるなど、昔はハードな職場であったため、男女共に離職率は高かったです」(40代前半・営業)
「数年前から女性活躍プロジェクトが発足し、役職者の女性が増えてきました。しかし、入社時は、本当に古い体質で……。今まで同じ会社で働き続けられた理由は、一言で表すと『忍耐』です」(40代前半・管理)

就職氷河期に就職をできたとしても、結婚・出産適齢期に仕事と家庭の両立を支援する制度が十分に整備されておらず、就業を継続できなかった女性や、長い間ハードワークに耐えてきた女性の苦労がうかがえます。20代、30代前半の頃に勤めていた企業に両立のための制度が整備されていれば、現在の生活も大きく変わっていたのではないかと感じる女性も少なくありません。

厚労省(学歴別就職後3年以内の離職率)によると、1994(平成6)年から離職率が徐々に上がり、就職氷河期世代では就職3年以内の離職率が相対的にやや高い傾向が見られます。