1:新卒での就職活動「希望した就職先に就職できなかった」
日本総合研究所では、2015年3月に東京圏で暮らす25〜44歳の女性、約3000人(有効回答数1828人)を対象に調査を行い、就職活動について尋ねています。
その中で1993年から2004年に卒業をした女性(就職氷河期世代)と、それ以外の女性に分けて、就職活動の違いを見ると以下のような傾向が見て取れます。
「希望した就職先に就職できなかった」女性(※)は、就職氷河期世代の女性で33.8%、それ以外の女性で28.6%でした。
※「全く希望していない就職先に就職する結果となった」+「どちらかというと希望してない就職先に就職する結果となった」
実際にインタビューすると下記のような声があり、当時の就職活動の厳しさが感じられました。
「採用人数が少なかったため、とにかく大変で、二度と就職活動をしたくないと思った」(40代前半)
「今思えば、採用する気のない企業に対する無駄な就職活動にいくら(写真代や交通費など)つぎ込んだのだろうかと疑問に思います」(40代前半・事務管理)
「友人や自分も含めて、就職活動は大変だった。落とされるのが普通だったので、高望みはせずに、正社員として採用してもらえた会社に入社をしました」(40代前半・事務)
就職した職種についても比較してみました。「一般職」として就職をした割合は、就職氷河期世代の女性が31.5%である一方、それ以外の女性は同24.9%とやはり大きな違いが出ています。また、就職氷河期世代以外の女性では、「総合職」や「専門職」「準総合職」で就職した割合がやや多くなっています。企業側が女性の活躍推進に向けて職種を多様化させた時期と重なったことが、こうした違い理由のひとつと考えられます。
やむなく一般職に就職したという学生が多い就職氷河期世代
この点についてもインタビューで聞きました。
「氷河期時代は、女性だけではなく、男性も内定を取ろうと必死でした。採用人数が少なく時間が限られているなか、大手企業で内定を取ることを優先し、大手企業の一般職に就職しました」(40代前半・専業主婦)
「当時志望していた業界の総合職は、もともと男性社会だった上に就職氷河期だったので、やむなく志望していなかった業界で一般職に入社しました。入社2年後には、職種の区分がない会社に転職しました。当初、自分が望んでいた業界で働くことは諦めたけれど、目の前の仕事にとにかくまじめに取り組み、今は役職者として働いています」(40代前半・事務管理)
正規雇用の仕事に就くため、「あえて(もしくは、しかたなく)一般職に就職した」という就職氷河期の女性は一定割合存在していたと考えられます。
新卒の就職活動は、将来の夢や希望をかなえるための第一歩と言えますが、就職氷河期世代の女性にとって正規雇用の職に就くことが最優先となり、夢や希望を描く余裕のあった人は少なかったのかもしれません。