(1)子どもの「稼ぐ力」をどう養うか

お金は困りごとを解決したときにもらえる対価

「お金とは、何か困りごとを自分の経営資源で解決したときにもらえる対価です。ですから、小遣いが欲しいなら、例えばの話、おじいちゃん、おばあちゃんの家の不用品を処分する、近所の庭の草むしりをするなど、人の困っていることをいち早く発見して、それを解決して“お駄賃”という形で、お金を自分で稼ぐべきなのです」

菅井さんの銀行支店長時代に、新卒ながら何かと細かいことに気がつく、いわゆる気働きのできる社員がいた。本人に聞いてみると、子ども時代は定額小遣い制ではなく、報酬小遣い制だったという。そうした事例はほかも数人いて、子どもの頃から率先して働いてお駄賃をもらった経験が、稼ぐ力につながっていると菅井さんは確信したそうだ。

「ただし家の手伝いには報酬は発生しません。それは、家族の成員として当たり前のことだからです。とはいえ、言われずにやったら50円、大掃除したら100円、と各家庭でルールを決めて、ふだんの手伝いを超える仕事については、小遣いをあげてもよいかもしれません」

(2)子どもの「お金を管理する力」をどう養うか

賢い使い方や管理の仕方も教えよう

そんなふうに人の困りごとを解決することで稼いだら、今度はそのお金の使い方や貯蓄方法を教えることが大切だ、と菅井さんはいう。

「子どもにお金をそのまま持たせていると、単にゲームを買っておしまいになってしまうことが多いでしょう。でも親としては、もっと賢いお金の使い方を教えたい。つまり何か物を買うときは、買って終わるものではなく、買ったらそこから新しい何かを生み出すものを買うべきであるということ。私の考えでは、買って終わりのものは単なる浪費で、新しく生み出すものは投資です」

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コツコツ貯める習慣も重要だ。

「いつか欲しいものが出てきたときに買えるように、貯金しておくということです。収入が入ったら、そのうち2割は先にとって貯金をさせる。それで残ったお金で暮らす。収入-支出がいつもプラスになるようにする。この習慣を小さいうちからつけておくことが大切です。そのために、小遣い帳をつけさせてお金の流れを見える化するのがよいでしょうね」

ちなみに先の金融広報中央委員会の調査によると、自分の貯蓄が「ある」と答えた小・中・高校生は4~5割。「定期的に貯蓄している」中学生は約3割、高校生は約2割だった。また小遣い帳をつけているのは、小・中・高校生とも約2割となっている。