8月24日の北朝鮮のミサイル発射は“祝砲”だ

核・ミサイル開発を続ける北朝鮮の軍事情報を日韓で交換し合う。これがGSOMIAの目的である。それだけに最大の問題は北朝鮮対応だ。

アメリカの有力紙ワシントンポストは8月22日の記事で、韓国がGSOMIA破棄をちらつかせていることについて「最大の勝者は北朝鮮だ」と指摘していた。

北朝鮮は短距離弾道ミサイルの発射を繰り返してきた。8月24日には午前6時45分ごろと7時2分ごろの2回、それぞれ1発ずつ日本海に向けて発射した。北朝鮮の反発する米韓合同軍事演習が20日に終了してから発射するのは初めてで、これで7月25日から8月24日までに計7回発射したことになる。

24日の発射はアメリカとの非核化協議に入るに前に、アメリカや韓国を牽制する狙いがあるという指摘がある。しかし、この沙鴎一歩には韓国がGSOMIAを破棄したことへの“祝砲”に思えてならない。

結果的に中国やロシアを利することになる

北朝鮮だけではない。韓国のGSOMIA破棄は、結果的に習近平(シー・チンピン)国家主席の中国やプーチン大統領のロシアを利することになる。中国とロシアはアジアの安全保障に強い影響力を持とうと虎視眈々こしたんたんと狙っている。安倍政権にはそうした情勢を十分に把握して外交に努めてほしい。

韓国外交省が日本の長嶺安政・駐韓大使を呼び出し、GSOMIAを破棄することを文書で正式に示したのが、8月23日だった。長嶺大使はその場で抗議した。同協定は11月22日にその効力を失う。

GSOMIAは2016年11月に日本と韓国の間で結ばれた。北朝鮮の核・ミサイルについての情報を共有する際の秘密保全手続きなどを定めている。これまでに約30件の情報を交換してきた。今後、韓国はGSOMIAの前身に相当する日米韓の防衛当局による取り決め(2014年12月締結)に基づき、アメリカを介して日本に情報を提供するとしている。