提供=由布市まちづくり観光局
名水の滝

住民が幸せだからこそ「もう一度行きたい温泉地」になる

実は、由布院関係者が懸念する大型施設がある。あの「星野リゾート」が由布院の高台に進出するのだ。まだ開業していないが、建築計画をめぐっては、市の関係部署と綱引きがあり、総部屋数50室を45室で減らすことで決着したと聞く。

筆者は星野リゾートも何度か取材してきた。企業姿勢や取り組みには一定の評価をしているが、「米国型の星野リゾート」が「欧州型の由布院」に合うのだろうか。

中谷氏の言葉を借りれば、「“お婿さん”が来て、力を貸してくれるのはありがたい」が、「俺が婿だ、と声高に主張し“家訓らしきもの”を守れるのか」になるからだ。

一方で、由布院には「地者じもの余所者よそものも一体化」してきた歴史がある。この地を訪れて魅了され、定住して生活するようになった人も多いのだ。

「出会いを排除しない」という意識も、当地の哲学に残る。「まずは住む人が幸せであること」という生活型観光地が、観光客や観光業者を由布院ファンとして一体化できれば、「もう一度行ってみたい温泉地」として突き抜けた存在になるだろう。

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