世界にはおもしろい遊びがたくさんある

【三木】プーケットでの経験を通して、世界にはおもしろい遊びがたくさんあるのに、うまく商品化されていないことを知りました。一方、観光客のほうも団体旅行から個人旅行にシフトしていく中で、おもしろい遊びに出合えずにいる。この課題を解決するビジネスをやろうと考えて、まず東京に出ました。といっても、東京に知り合いはそれほどいません。世界に向けたビジネスをするには、いろいろな人の助けが必要です。そこで、まずはスタートアップのコミュニティーに入るため、投資家やエンジェルの方に会いました。同時に事業の構想を練って、半年から1年くらいかけて形にしました。会社を設立したのは14年1月です。

【田原】事業というのは、アクティビティと観光客のマッチング?

【三木】最初に一気に、世界300都市1万ツアーをウェブ上で企画しました。それに対して集客したら、月1000人弱集まりました。

【田原】三木さんはオプショナルツアーのプラットフォームをつくろうとしたのかな。つまり旅行業界のグーグルとかアマゾンになろうとした?

【三木】そのつもりでした。ただ、ウェブでツアーを申し込めるプラットフォームは、それこそグーグルやアマゾンがいずれつくってしまうかもしれません。また、実際に始めてみると、お客さんは大勢集まるのに、現地のアクティビティ会社の体制が追いついていないことがわかりました。供給側の質が低いままマッチングをやっていても、お客さんに感動を届けるのは困難です。ならばプラットフォームで集客しつつ、自分たちでコンテンツもつくったほうがいい。そう考えて、約1年前からアクティビティをつくるほうにシフトしています。

【田原】おもしろい。いまはみんなプラットフォーマーを目指すけど、三木さんはコンテンツのメーカーになりたいわけだ。でも、質の高いコンテンツって具体的にどうするの?

【三木】いま僕たちは「ファントリップ」というブランドを展開しています。このブランドを、世界中の旅行者が安心、安全に旅行できるスタンダードにしたいと考えています。ツアーって、安心できないシーンも多いんですよ。たとえば僕が荷物を取られたのもそうだし、ガイドにお土産屋さんに勝手に連れて行かれたり、そもそもガイドが現地の言葉しか話せないこともある。あるいはホテルに泊まったら、部屋にゴキブリが出たり、シャワーが水しか出ないこともあります。そういうことがないように、どの国の人がどこに行っても安心して楽しめるツアーにします。

【田原】どうやって実現するの?

【三木】現地のアクティビティ会社に入ってアドバイスをしています。じつはいまでもノートに○×をつけてお客さんの管理をしているような会社が多いんです。そういった仕組みのところも含めてノウハウを提供しています。もし車を買い替えるお金がないのなら、資金の提供も可能。ファイナンスも含めて支援します。