「当たり前のことすら遠慮してきたのが従来の対韓外交だった」

文氏は経済的にも外交的にも追い込まれている。文氏が頼れるのはアメリカを介して同盟状態にある日本のはずである。

同じ8月3日付で産経新聞は大きな1本社説(主張)を掲載している。

「政府が、安全保障上の輸出管理で優遇措置を取る『ホワイト国』から韓国を外す政令改正を閣議決定した。妥当な判断である。韓国の反発に揺るがず、国家の意志を貫いたものとして支持したい」

書き出しからして分かりやすい主張である。

「韓国には、日本から輸出された、軍事転用の恐れがある物資の管理体制に不備がある。その改善に向けた信頼ある行動も期待できない。そのような国の特別扱いをやめるのは当然である」
「こうした当たり前のことすら遠慮してきたのが従来の対韓外交だった。それをいいことに文在寅政権は反日的行動を重ねてきた。だが、もはや韓国の日本に対する甘えは許されない。そこを明確にした点でも、今回の決定は大きな意味を持つ」

韓国が日本に甘えてきたことは事実である。ただ日本も韓国をあえて甘えさせることで、高度経済成長を成し遂げ、国際社会での地位を築き上げてきたのである。したたかだったと思う。今後の韓国との外交でもそうしたしたたかさが必要だ。

「徴用工訴訟は無関係」という産経社説の的外れ

産経社説はこう韓国を批判していく。

「ホワイト国からの除外は、先に決定した半導体材料の輸出管理厳格化に続く第2弾だ。ホワイト国であれば、軍事転用が可能な品目の輸出手続きを簡略化できる優遇措置を受けられる」
「韓国は日本側の一連の措置を、もっぱら『徴用工』訴訟をめぐる対抗措置ととらえ、世界貿易機関(WTO)ルールに反すると批判している。だが、こうした指摘は的外れである」
「安全保障上の輸出管理は、大量破壊兵器などの拡散を防ぐ措置であり、これを適正に運用することは、国際社会に果たすべき日本の責務だ。自由貿易に反するどころか、これを悪用させないためにも欠かせない」

「輸出管理厳格化に続く第2弾」「安全保障上の輸出管理」「国際社会に果たすべき日本の責務」と続くと、思わず産経の韓国批判を鵜呑うのみにしてしまうが、今回の問題の直接の始まりは、徴用工訴訟にあることは間違いない。産経社説の「こうした指摘は的外れ」のほうが的を外している。