2000年初頭、リコール隠しやダイムラーとの提携問題で一度は地に落ちた三菱ブランド。しかし、金融危機が業界を直撃した後、長年の希望を背負った電気自動車がにわかに世界へと走り出した。

90年代の国内市場における自動車業界の勢力構図は今日とはおよそ異なる。トヨタ自動車が1位に変わりはなかったが、2位が日産自動車、そして三菱自動車、ホンダ、マツダが三番手を激しく争うというものだった。その中で三菱は、多目的スポーツ車の「パジェロ」、3ナンバーセダンの「ディアマンテ」などヒット車種を連発させ、一時は当時の中村裕一社長が「(2位の)日産のテールランプが見えた」と発言するほど好調だった。