消費者との交流やSNSでの情報発信もする

【有坪】お聞きするのを忘れていましたが、農地はどのくらいの大きさですか?

【高尾】2反ちょっと(約20アール)です。労働力としては僕と妻。それから繁忙期は数人にパートタイムに来てもらっています。この規模で経営が成り立っているのは、やはりこの地域のスイートピーがブランドとして確立されてきた歴史があるからです。

有坪民雄『農業に転職! 就農は「経営計画」で9割決まる』(プレジデント社)

つまり30年間ここで栽培してきた人が出荷するものと、僕が出荷するものは、基本的に同じ値段で卸すことができます。だから僕はここで食べていくことができている。恵まれた環境で農家をさせてもらっているとも言えます。

ですから、本当に船穂町の先輩農家さんたちには感謝していますし、そうした実績を自分も守り、さらに花の栽培を底上げしていくような努力をすることで、恩返しをしていきたいとも思っています。

【有坪】その努力とは、具体的にはどんなことですか?

【高尾】さまざまなイベントを開催するなどして、一般消費者の方々やプロのフローリストさんたちとの交流を深めたり、彼らが好む色や形といったニーズやトレンドを把握しようと努めたり、ブログやSNSでの情報発信なども心がけています。

【有坪】これからの農業を考えたときには、農産物をただ生産するだけでなく、いろいろな情報にアンテナを張って、社会と関わりながら活動していくことも必要なのでしょうね。本日は貴重な就農のお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

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